研究概要 |
平成11年度の研究計画を実行し、以下の研究成果が得られた。 1.CTLA-4cDNA変異体のクローニングと塩基配列の決定 SLE症例の末梢血単核細胞において全長サイズのCTLA-4遺伝子発現をRT-PCR法にて解析した。SLEでは予想全長サイズのPCR産物と共に,それより約100塩基対短いPCR産物が明確に検出された.後者のPCR産物をTAベクターにサブクローニングして塩基配列を決定すると、1塩基のみ異なる2種類のCTLA-4cDNA変異体が得られ、何れもエクソン3の110塩基対が欠損していた。エクソン3は細胞外ドメイン基部と膜貫通領域をコードすることから、このCTLA-4cDNA変異体は、フレームシフトにより22個の非CTLA-4アミノ酸配列をC端側に有する可溶型CTLA-4蛋白をコードすることが予想された。シグナル配列内に存在する1塩基置換は、既に報告されている遺伝子多型の部位であったことから、両CTLA-4cDNA変異体は対立遺伝子における選択的スプライシングにより生成されると考えられた。 2.CTLA-4cDNA変異体による蛋白発現 CTLA-4cDNA変異体をSRα系発現ベクターに組換え、COS-7細胞に遺伝子導入した。培養上清中には、抗CTLA-4ポリクローナル抗体と同モノクローナル抗体を使用したサンドイッチELISAにて検出される蛋白が同定されたことから、CTLA-4cDNA変異体は少なくともCTLA-4の細胞外ドメインを含む可溶型蛋白を実際にコードすることがわかった。 3.CTLA-4cDNA変異体がコードする可溶型CTLA-4特異的モノクローナル抗体の作製 可溶型CTLA-4に特異的なモノクローナル抗体を作製するために、C端側非CTLA-4アミノ酸を合成し、このペプチドのKLH抱合体をマウスに過免疫し、細胞融合法にてモノクローナル抗体を作製した。クローンH11.6(IgG2a,κ)は、ペプチドのみならず可溶型CTLA-4分子も認識でき、既存の抗CTLA-4抗体との組合せによるサンドイッチELISA法を確立した。
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