研究概要 |
平成12年度の研究計画を実行し,以下の研究成果を得た. 1.可溶性CTLA-4の臨床的意義 前年度において作製したモノクローナル抗可溶性CTLA-4抗体(H11.6 : IgG2a,κ)を使用したサンドイッチELISA法により,全身性エリテマトーデス(SLE)患者(n=49)と健常者(n=36)の血清中可溶性CTLA-4レベルを測定した.健常者群では中央値49.3U/mlに対してSLE群では中央値33.0U/mlであり,SLE群では健常者群に比較して可溶性CTLA-4レベルが有意に低下していた(P<0.03).健常者群ではある一定レベル以上の可溶性CTLA-4が認められるのに対して,SLE群では可溶性CTLA-4が血清中に殆ど認められない症例が約22%(11/49)も存在していた.可溶性CTLA-4低下SLEは白血球数減少や補体価低下傾向が認められ,SLEの疾患活動性を反映していると考えられた. 2.可溶性CTLA-4の構造解析と存在様式 可溶性CTLA-4cDNAの発現ベクターをFuGENE6法によりCOS-7細胞に遺伝子導入し,低血清培養液中の可溶性CTLA-4活性をELISA法により確認した後,Superose 12 HPLCにて解析した.可溶性CTLA-4活性はヒト血清アルブミン(HSA)ピークとは異なる分子量約26,000の位置に検出されたことから,二量体として存在することが明らかとなった.次に血清中の存在様式を調べるために,可溶性CTLA-4活性のない健常者血清と混合して同様に解析すると,可溶性CTLA-4活性はアルブミンピークに一致していた.また,この活性ピークを陰イオン交換クロマトグラフィーにて再解析しても,アルブミンと可溶性CTLA-4活性は同一ピークを示したことから,可溶性CTLA-4のキャリア蛋白はアルブミンであることが初めて明らかとなった.しかし,可溶性CTLA-4を精製HSAと混合しても,両ピークは一致しないことから,血清中の第三の成分が可溶性CTLA-4とアルブミンの会合に関与している可能性も示唆された.
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