研究概要 |
摘出癌細胞からのlysateを抗原として20名以上の大腸癌患者に対して樹状細胞によるワクチン療法を施行した。結果として、明らかな有効例を見いだせなかった。抗原の調製に問題がある(抗原量が少ないかCTLエピトープを保持していない)と考えられた。carcino embryonic antigens(CEA)は進行性の大腸癌、肺癌、肝癌などの患者で高率に高値を示すことから腫瘍マーカーとして使われてきた。生体内では免疫学的には寛容状態にあると考えられてきたが、近年、この蛋白がCTL、エピトープを保持していることがあきらかとなった。CEA高値を示す末期肺癌の患者(HLA-A24+)に対して合成したHLA-A24拘束性のCEAペプチドを抗原として樹状細胞ワクチン療法を施行したところ、CEA,CA19-9ともに治療前の1/10以下まで改善し、腫瘍の縮小がみられ、全身状態も良好で半年以上小康状態が続いている1例を経験した。抗原として合成ぺプチドが有望と考えられた。治療として使う樹状細胞の数や治療の頻度などについては今後の課題と考えられる。いくつかの施設から報告されているように、現時点では、明らかな副作用は認められなかった。
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