小児の悪性腫瘍特に肉腫は進行もはやく転移例では極めて予後が不良であるとが知られている。遠隔転移のみとめられる横紋筋肉腫1例、滑膜肉腫1例に対して樹状細胞と切除腫瘍標本から抽出したlysateを抗原としてワクチン療法を施行した。全身状態、体格等を考慮しアフェレーシスをおこなわずアフェレーシスバッグによる300ml採血から単核球を分離した。単核球をプラスチック非付着細胞と付着細胞にわけそれぞれから樹状細胞を分離し抗原と培養した後、少量のIL-2とともにそれぞれ2日目と7日目に静注した。また、Th1細胞活性化のために付着細胞の一部にPPDを添加し、培養したものを樹状細胞と同時に静注した。2-4週ごとに1回治療をおこなった。結果:横紋筋肉腫の症例では明らかな改善はみられず有効性が認められなっかった。一方、肺転移、胸水貯留が認められた滑膜肉腫例では胸水の消失し、咳などの自覚症状の改善がみられ治療開始後約1年経過するが新たな病変の出現なく、通常の学校、家庭生活をおくっている。より、早期の滑膜肉腫(切除断端が陽性で遠隔転移が予想される症例)に対してこのワクチン療法は予防という点で可能性があると考えられる。
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