研究概要 |
I型アレルギー疾患に認められるTh2細胞分化の決定因子として、遺伝子の多型性とサイトカインIL-18の発現を検討した。また即時型アレルギー疾患の発症予防として、好塩基球からのTh2サイトカインを抑制するフラボノイドの動物モデルでの効果を検討した。 1.遺伝子の多型性の解析では、遺伝子(5"IL-4転写調節領域,β2アドレナリン受容体,IL-4受容体)の多型性頻度を、アレルギー患者と対照にて比較したが、それ単独では有意な差が得られなかった。これらの遺伝子多型性の組み合わせで解析した場合、対照と比してアトピー型喘息ではβ2アドレナリン受容体16-GlyとIL-4受容体-Ileの重なりが増加する傾向が認められた。 2.サイトカインの解析では、自然発症のアトピー性皮膚炎モデルマウスであるNC/Ngaマウスでは、皮膚炎発症前からの血清中IL-18の上昇が認められた。成人難治性アトピー性皮膚炎患者においても同様に、血清中のIL-18は有意に増加していた。しかしながら、IL-18の皮膚炎発症に及ぼす役割を検討するために、抗IL-18中和抗体をNC/Ngaマウスに週1回継続投与したところ、この中和抗体は皮膚炎やIgEの上昇を抑制できなかった。 3.I型アレルギー疾患に対する新規な抗アレルギー物質による予防効果に関する検討では、柿葉抽出物、緑食野菜飲料、低カロリーからなる民間療法の難治性アトピー性皮膚炎に対する臨床効果の検討を出発点として、柿葉抽出物には、フラボノイドであるアストラガリンが含まれ、共に好塩基球からのヒスタミン分泌を抑制すること、また皮膚炎発症前からの経口投与により、NC/Ngaマウスの皮膚炎発症、IgEの上昇また経皮水分喪失が著明に抑制されることが明らかとなった。またある種のフラボノイドは、好塩基球からのTh2タイプのサイトカイン(IL-4,IL-5,IL-13)の分泌が抑制されることも観察された。
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