I型アレルギー疾患に認められる過剰なTh2細胞分化の決定因子の同定とその制御を目的として、以下の検討を行った。 SNPの解析として、アレルギー患者と対照群で、IL-4転写領域のSNP(IL-4-5″(-525C/T))、IL-4受容体の2つのSNP(IL-4R-50Val/Ile、576Gln/Arg)、β2アドレナリン受容体の2つのSNP(β2ADR-16Arg/Gly、27Gln/Glu)の遺伝子頻度を検討したところ、それぞれ単独では、IL-4R-50Val/Ileのみ、オッズ比として2.3の有意な結果を得た。その組み合わせでは、IL-4R-50Val/Ileとβ2ADR-16Arg/Glyにて、オッズ比が5.8と上昇した。 Th2分化促進作用を有するIL-18は、活性化好酸球に作用し、IL-8の産生を増強することが示された。成人アトピー性皮膚炎患者及びアトピー性皮膚炎モデルマウスであるNC/Ngaにおいて、血清IL-18値の上昇が観察された。アトピー性皮膚炎発症におけるIL-18の役割を明らかにする目的で、このマウスに抗IL-18中和抗体を皮膚炎発症前より投与したところ、皮膚炎の発症やIgE増加を阻止出来ず、むしろ皮膚炎の増悪が観察された。ヒトIL-18構造遺伝子には、翻訳開始点より105番目にA/CのSNPを認めた。I型アレルギー疾患におけるIL-18の役割とSNPの意義に関して、今後さらなる検討を要する。 新規な抗アレルギー作用を有する低分子物質を探索した。フラボノイドであるアストラガリンの経口摂取により、NC/Ngaの皮膚炎や血清IgEの上昇が抑制された。アストラガリンの水酸化物であるケンフェロール、またフィセチン、ケルセチン、ルテオリンやアピゲニンには、好塩基球からのTh2サイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13)の産生抑制という新規な抗アレルギー作用を有することが明らかとなった。
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