研究課題/領域番号 |
11670451
|
研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
長澤 浩平 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (00108721)
|
研究分担者 |
三宅 健介 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (60229812)
多田 芳史 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (70284627)
|
キーワード | B細胞 / RP105 / SLE / シェーグレン症候群 / 皮膚筋炎 / 免疫グロブリン / 自己抗体 |
研究概要 |
B細胞における新しい機能分子であるRP105の発現、及び機能を各種自己免疫疾患のB細胞について検討した。これまでの研究により、RP105陰性B細胞は全身性エリテマトーデス(SLE),シェーグレン症候群(SjS)、及び皮膚筋炎(DM)患者の末梢血では、RP105陰性B細胞が有意に増加していることが明らかになったため、本年度はこの3疾患につき詳細な解析を行った。SjS患者9例の小唾液腺組織の免疫染色の結果、病変部にはB細胞の浸潤が多く、その大半がRP105陰性B細胞(平均57%)であり、リンパ濾胞のgerminal centerはほとんどがRP105陰性細胞で占められていた。また、この組織におけるRP105陰性B細胞の割合は、血清の免疫グロブリン濃度とよく相関することが明らかになった。 次に、DMと多発筋炎(PM)は臨床的には類似の疾患と考えられていながら、発症病理は異なることが示唆されていたため、RP105陰性B細胞の面から検討した。その結果、PM患者11例の末梢血のRP105陰性B細胞の割合は5.8%と低値であったのに対し、DM患者7例のそれは33.0%と著明に高く、両疾患が免疫学的に明らかに異なることが示された。すなわち、DMの病態形成においては活性化B細胞の関与が強いことが示唆された。 このような活性化された状態にあるRP105陰性B細胞が、果たして免疫グロブリンや自己抗体を実際に産生しているか否かが大きな問題となる。その問いに答えるために、われわれはSLE患者末梢血からRP105陰性、及び陽性B細胞に純粋に分けてin vitroで5日間培養し、上清中のこれらの量を測定した。その結果、どのSLE患者においてもRP105陽性B細胞は刺激、無刺激に拘らず、自己抗体は勿論、免疫グロブリンの産生も全くしていなかったのに対し、陰性B細胞は無刺激の状態でも非特異的なIgGやIgMの産生は勿論、自己抗体の主体となる抗DNA抗体の産生をも行っていることが明らかになった。このように、液性免疫が主体をなす自己免疫疾患の発症病理にはRP105陰性B細胞が深く関わっていることが示唆された。
|