研究概要 |
1.慢性関節リウマチ患者滑膜でのSAA産生 慢性リウマチ(RA)患者、および変形性関節症(OA)患者の滑液中のSAA濃度をEIA法で測定した。その結果、RA患者滑液中のSAAは、著明に上昇していたがOA患者の滑液中のSAA濃度の上昇は認められなかった。さらにRA患者滑液中のSAA濃度はIL-18値と正の相関を示した。RA滑膜細胞をIL-18(100ng/ml)で刺激し、RF-PCR法を用いて滑膜細胞SAAのmRNA発現を検討した。RA滑膜細胞をIL-18で4時間刺激すると、RA滑膜細胞にA-SAA(急性型SAA)のmRNAの発現が誘導された。一方、RA滑膜細胞を同様にIL-18で刺激しても、β-アクチンのmRNA発現には変化はみられなかった。次にRA滑膜細胞をIL-18で刺激し、培養上清中のSAA蛋白について検討した。RA滑膜細胞をIL-18(100ng/ml)で刺激し、その培養上清を抗SAA抗体を免疫沈降し、免疫沈降物を抗SAAイムノブロットで調べたところ、IL-18で刺激したRA滑膜細胞培養上清にSAAが検出された。以上の結果より、IL-18はRA滑膜細胞にSAAのmRNAの発現、SAA蛋白発現を誘導する作用が明らかになった。つまり炎症性サイトカインであるIL-18は,従来から明らかにされていたIL-1、IL-6と同様に、急性期蛋白であるSAAを誘導する作用を有していることが今回、初めて明らかになった。SAAは関節破壊を誘導するマトリックスメタロプロテアーゼの産生を促すことが知られており、RA患者滑膜でIL-18で誘導されるSAAは関節破壊に関与していることが示唆された。
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