慢性関節リウマチ(Rheumatoid Arhtiritis)や全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus、SLE)などの膠原病は難治性の全身性炎症性疾患である。その病因に関わる因子のひとつとしてT細胞の異常な感作が挙げられ、末梢血や病変局所においてT細胞がオリゴクローナルに増殖していることを報告した。これらT細胞の抗原と同定することができれば、病態の解明や治療法の開発に大きな前進が期待できる。このために、集積T細胞のT細胞受容体をプローブとしてMHC分子付ペプチドライブラリーをスクリーニングすることを考えた。12年度にはペプチドファージライブラリーの構築として昨年度おこなったHLAB5101に加え、マウスH-2Dbについてもファージ上の発現を試み、ファージ上に発現されたMHCクラスI分子には抗原ペプチドが搭載されうることが判明した。また、患者末梢血中に集積しているT細胞の同定と単一細胞PCR法を用いて、そのT細胞一個からTCRα鎖β鎖をクローニングし、大腸菌を用いて1本鎖TCRとして発現させることに成功した。今後ペプチド部分をランダムに設定したライブラリーの構築に進む予定である。また、上記のTCRα鎖β鎖のクローニング法を改良し、臨床検体に広く応用できるようにする予定である。
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