研究課題/領域番号 |
11670466
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
尼川 龍一 関西医科大学, 医学部, 助教授 (10309213)
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研究分担者 |
香川 英生 関西医科大学, 医学部, 講師 (30278618)
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キーワード | シェーグレン症候群 / 末梢血樹状細胞(DC) / fraction 1 DC(CD1a+CD11c+) / 唾液腺 / ナイーブCD4+T細胞 / IFN-γ産生性CD4+T細胞 / Th1 / 自己寛容 |
研究概要 |
我々は各種疾患病態にDCが本質的な役割を果たしているという作業仮説のもとに種々の疾患における末梢血DCの動態を解析している。臓器特異的自己免疫疾患の一つである原発性シェーグレン症候群の末梢血DC亜群の解析ではfraction 1 DC(CD11C+CD1a+)の絶対数が有意に減少していた(未治療患者23例、健常人コントロール22人)。一方、fraction 2 DC(CD11C+CD1a-)とfraction 3 DC(CD11C-CD1a-)の数には変化を認めなかった。唾液腺組織ではCD11C+fascin+HLA-DR+DCが多数浸潤しており、fraction1 DCが末梢血から選択的に移行したものと考えられた。さらに末梢血と唾液腺組織ではIFN-γ+CD4+T細胞が多数検出された。fraction1 DCはナイーブCD4+T細胞をIFN-γ産生性CD4+T細胞に分化させる能力があることがmixed lymphocyte reaction(MLR)により明らかにされた。以上の所見より、シェーグレン症候群ではfraction1 DCが組織に移行しTh1バランスを誘導することにより発生病理に関わるという新しいメカニズムが明らかとなった(Ozaki Y et al.:Arthritis Rheum Ozaki Y et al 2001)。fraction1 DCが組織に動員されるメカニズムは不明であるが、おそらく唾液腺局所で何らかの自己抗原を取り込んだ後、所属リンパ節に移行しナイーブCD4+T細胞に抗原提示しそれらを活性化するものと考えられる。この研究成果は自己免疫疾患における自己寛容の破綻にDCが深く関与していることを示唆しており、これからの自己免疫疾患研究の重要な足がかりになると考えられる。
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