研究概要 |
我々は最近、ヒト末梢血には3つの樹状細胞(dendritic cells : DC)が存在することを見いだした(Ito et al.J Immunol.1999)。Fraction1(CD1a+CD11c+)および2(CD1a-CD11c+)DC)はミエロイド系に属し、fraction3DC(CD1a-CD11c-)はリンパ球!系に属することが明らかにされている。我々は自己免疫疾患の発症にDCが本質的役割を果たしているという作業仮説のもとに原発性シェーグレン症候群を取り上げ、末梢血DCの動態を解析した。無治療の原発性シェーグレン症候群の患者では末梢血DCの総数が有意に減少していた。これは3つのDC fractionのうちfraction1 DC(CD11c+CD1a+)が有意に減少していたことによる。唾液腺組織ではCD11c+fascin+DCが多数浸潤しており、fractionl DCが末梢血から選択的に移行したものと考えられた。さらに末梢血と唾液腺組織ではIFN-γ+T細胞が多数検出された。In vitroでの共培養の実験において、fractionl DCはナイーブT細胞をIFN-γ+T細胞に分化させる能力があることが明らかにされた。以上の結果から我々は、シェーグレン症候群の発症のメカニズムに関する新しい仮説を提唱したい。すなわち、シェーグレン症候群ではfractionl DCが選択的に組織に移行しTh1バランスを誘導することにより発生病理に関わるものと想定される。(Ozaki Y et al.:Arthritis Rheum44:419,2001)。これらの結果はこれからの自己免疫疾患研究の重要な足がかりになると考えられる。
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