研究概要 |
これまではNK細胞はIFN-gamma産生を介しB細胞からの抗体産生(IgE)を抑制すると考えられてきた。申請者らによって新しいNK細胞サブセット、2型サイトカインIL-13,IL-10,IL-5産生NK細胞(以下2型NK細胞)が同定された(Hoshino,JI,Jan 1,1999)。Okamuraによって発見されたIL-18はIL-12と協同しTh2誘導を抑制しTh1型サイトカイン(IFN-gamma)産生及びTh1型細胞への分化を強力に誘導すると考えられていた(O'Garra,Immunity,1998)。申請者らによりIL-18がTh1型サイトカインIFN-gammaだけでなくこの2型NK細胞、Th2細胞からのIL-13産生誘導に関与していることを報告した(Hoshino,JI,May 1,1999)。また最近申請者らはIL-18がIL-13以外のTh2サイトカインIL-4,IL-10も誘導し、生体内でIgE誘導に関与していると報告し(Hoshino et al,JI,May 1,1999,国際炎症学会,2000)、IL-18はTh1,Th2の両方の分化に関与していることが判明した。以上よりIL-18は2型NK細胞、マスト細胞及びTh2 T細胞誘導を介しIgE産生誘導、アレルギー成立に関与していることが示唆された。 現在申請者らは熊本大学 山村研一教授、大阪大学 微生物病研究所 審良静男教授らとin vivoにおけるIL-18の役割解析のためIL-18 transgenic mouseを樹立中である。IL-18 transgenic mouse等をもちいてアレルギー、自己免疫疾患モデルが作製できれば自己免疫疾患の解析にも大きく寄与事が出来ると考えられる。申請者の研究はIL-18の解析だけでなくTh1,2分化の解明、アレルギー、自己免疫疾患の研究にも非常に寄与する事が大きいと考えられる。
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