C型肝炎ウィルス(HCV)の外側のエンベロープ蛋白(E1、E2)の培養細胞での発現系を構築し、部分精製を試みた。 まずジェノタイプ1b型でウイルス量の多い患者血清よりC型肝炎ウイルスのRNAを抽出した。そのRNAより、逆転写酵素を用いてcDNAを合成し、特異的プライマーを用いてPCRをおこなうことでE1、E2遺伝子を増幅し、発現ベクターに組み込んだ。シークエンスを確かめた後、6xHisTagをつけたエンベロープ蛋白(E1、E2)をCOS7細胞に導入して、抗体でその発現を確認した。E2蛋白のうちC末を削ったアミノ酸661までのもののみが分泌型であり、6His-TagによりNiカラムとのaffinityで部分精製できた。現在ヒト肝ライブラリーを使い、結合蛋白の発現スクリーニングをおこなっている。またHCVのレセプターの候補分子として報告されたCD81に関しては、ヒト遺伝子をlibraryよりPCRでクローニングし、発現ベクターに組み込んだ。COS7細胞に導入した後、細胞表面への発現をFACscanと免疫染色により確認した。このヒトCD81発現COS7細胞に、ウイルスの存在する血清を加えて培養した。 時間経過を追って細胞とその上清についてRT-PCRを用いでHCVのマイナス鎖の検出を試みたが、現在のところ再現性のある有意な所見は得られていない。HIVと同様なco-receptorが存在する可能性等があるものと思われる。
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