1)選択的胃主細胞増生又は破壊transgenic miceの胃粘膜上皮細胞構築と生体機能に及ぼす影響:ヒトペプシノーゲンC遺伝子のプロモーター領域(-1935〜+32bp)に4kbのヒト成長ホルモン遺伝子を組み込んだBluescriptIIを、FVB/Nマウスの卵母細胞に移入しtransgenic miceを作成した。このマウスは正常に誕生し、胃底腺下部の腺細胞にヒト成長ホルモンの発現を認め、ヒトペプシノーゲンC遺伝子のプロモーター領域が予想どおり働いていることが確認された。さらに胃幽門腺の線細胞、十二指腸ブルンネル腺にもヒト成長ホルモンの発現を認め、ヒトのペプシノーゲンCの発現と同じパターンを示した。このマウスでは胃内の主細胞の増加が認められた。しかし、この変異マウスは8-9週で全て死亡した。死亡の原因を現在解析中である。さらに、ヒトペプシノーゲンC遺伝子のプロモーター領域(-1935〜+32bp)に4kbのジフテリアトキシン遺伝子を組み込んだBluescriptIIを、FVB/Nマウスの卵母細胞に移入した主細胞選択的破壊transgenic miceを作成した。現在生後の成長の過程を観察しているところである。2)プロトンポンプ阻害剤(PPI)による胃酸分泌抑制の胃粘膜上皮細胞構築に及ぼす影響:PPIを高用量(omeprazole 20mg/kg)マウスに投与すると、2週間後に胃壁細胞が空砲化変性することを認めた。そこでFVB/Nマウスを用い、omeprazole 20mg/kgを6カ月連続投与したところ、胃粘膜の萎縮が認められた。今後粘膜内のガストリンの発現などにつき検討する予定である。
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