研究課題/領域番号 |
11670499
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐々木 裕 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70235282)
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研究分担者 |
平松 直樹 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
伊藤 敏文 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
笠原 彰紀 大阪大学, 医学部・附属病院, 助教授 (70214286)
堀本 雅祥 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
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キーワード | ninjurin / 接着分子 / 肝癌 / 診断法 / 治療法 |
研究概要 |
Ninjurinは神経細胞軸索傷害後にその発現が著明に上昇する事よりクローニングされたhomophilicな接着因子であり、軸索の修復において重要な役割を果している。正常な肝組織においても強く発現している事が報告されているが、肝におけるninjurinの生理的機能は未だ明らかにされていない。そこで以下の役割の検討を行った。ラット部分肝切除後肝再生モデルを用いてninjurin蛋白発現量の経時的な変化を検討すると、細胞間接着因子であるE-cadherinの発現量には経時的な変化が認められないが、ninjurinの発現量はDNA合成のピークを過ぎた肝切除後3-5日で約2倍に上昇した。また免疫組織化学的な検討では肝実質細胞にびまん性の発現を認めた。次に細胞間接着におけるninjurinの関与を解明する目的で、ラット初代肝細胞を用いて細胞密度に伴う発現量の変化を解析した。細胞密度の上昇に伴いninjurin蛋白の発現量は増加した。また肝非実質細胞においてもninjurinの発現が認められ、肝実質細胞間のみならず肝実質細胞-非実質細胞間の接着にもninjurin蛋白が関与している可能性が示唆された。一方、ヒト正常肝細胞株にninjurin発現ベクターあるいはanti-senseベクターを遺伝子導入して高発現株あるいは低発現株を作製すると、低発現株は細胞死に陥る傾向が観察された。以上の結果から、ninjurinは肝細胞の分化や機能維持に関与する事が示唆された。
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