研究概要 |
本年度は、培養癌細胞と培養伊東細胞のおのおのが相互に何らかの影響を与えるかについて検討した。 肝細胞癌症例の多くには被膜の形成が見られる。そして、被膜の形成には細胞外マトリックス産生の主細胞である伊東細胞が関係していると予想されるからである。 これらを検討する為に、以下のような方法を用いて研究を行った。 まず、肝癌細胞の伊東細胞に与える影響を調べる目的で、培養ラット肝癌細胞をDMEM培地で継代培養した。そして、雄性ラットよりコラゲナーゼ灌流法ナイコデンツ比重遠心法を用いて、伊東細胞を分離しDMEM培地で別に培養した。 ラット肝癌細胞を24時間培養した上清を分離した伊東細胞に添加し、細胞内シグナル伝達系のうちMAPK Kinase FamilyのうちERK,SAPK,P38に与える影響を、24時間後、3日後、7日後に検討した。 伊東細胞のERK,SAPK,P38のシグナル伝達系は経時的に活性化されるが、肝癌細胞の培養上清を添加すると、その活性化がさらに促進されることが判明した。 これらが、コラーゲン産生を促進するのかどうかは現在検討中である。 この逆に、伊東細胞の培養上清を肝癌細胞に添加し、経時的に細胞周期をフローサイトメトリーを用いて検討を行った。しかし、肝癌細胞の細胞周期には有意な差は認めなかった。
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