研究課題/領域番号 |
11670510
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
大西 三朗 高知医科大学, 医学部, 教授 (60136380)
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研究分担者 |
西原 利治 高知医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (60145125)
谷口 武利 高知医科大学, 医学部, 助教授 (90127944)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | B型肝炎ウィルス / 肝細胞癌 / tronsactiration / carcinogenesis |
研究概要 |
肝臓の線維化の進展、ことにその終末像としての肝硬変では肝不全や肝細胞癌、食道静脈瘤、感染症などの合併症が直ちに生命予後に影響を及ぼすため、慢性肝疾患の治療では肝硬変への移行の防止、即ち肝線維化の抑制が極めて重要である。ことにC型慢性肝疾患では繊維化が高度に進展した症例に肝細胞癌が多発する。これに対し、B型慢性肝疾患では繊維化の進展度が軽度に留まる症例でもしばしば肝細胞癌の発症を認めることが特徴である。このようにB型肝炎ウイルス感染では肝病変の進展というリスク以外にも何らかの因子が相乗的に肝発癌を促進している可能性が示唆される。従来、HBX蛋白がこのような因子ではないかと想定されてきたが、今回我々はHBVpreS1蛋白にも肝発癌促進作用のあることを明らかにした。 このような形質転換に関与する蛋白を同定したことは、発癌機構を明らかにすることに留まらず、肝細胞癌の過程の詳細を明らかにすることにより治療に大いに貢献できる。すなわち、今後の遺伝子解析の進歩により発癌のチェックポイントを点で捕らえることが可能になると予想されるので、肝発癌の要所を特異的に阻害する薬剤の開発を含めた肝発癌の予防法の開発に大きく寄与すると考えられる。 発癌の契機に加え、癌の悪性度を高めるという過程に関与するEGF系のautoactivationをたった一つの蛋白質(HBVpreS1)が引き起こし得るとの今回の発見は、従来複雑に見えた肝発癌が意外にも直截的な現象であることを示唆しており、肝繊維化による発癌リスクの上昇との関連で、さらなる今後の展開が大いに期待できる。
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