伊東細胞はエンドセリンなどに反応して肝類洞血流の制御を行っています。肝臓の線維化を伴う患者では血中工ンドセリン値が高値を示すことから、類洞血流の減少を介して、肝細胞虚血が生じる可能性があります。しかし、近年、筋線維芽細胞様に形質転換した伊東細胞がnitric oxide(NO)を産生して、肝細胞傷害を防いでいることが明らかになりました。そこで、筋線維芽細胞様伊東細胞に誘導されるNO生産関連遺伝子のクローニングを行っています。 手術切除肝から伊東細胞を分離し、培養を行うことにより in vitroで形質転換を行う。脱核を行い、抗原としてマウスを免疫し、モノクロ抗体を作成したところ、7つのクローンが樹立され、現在、characterizationを行っております。 本年度の発表論文は、近年、アルコール性肝線維症との鑑別が問題となっているnon-alcoholic steatohepatitisにおける病因・成因・治療に関する論文です。この病態では、CD36の発現亢進、ferritinの高値、レプチンの高値などを明らかにしておリ、アルコール性肝線維症との対比において、伊東細胞によるNO産生との関連を解析している。伊東細胞に対するアルコールの直接的な影響についての論文は投稿中です。
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