アンギオスタチンはプラスミノーゲンN末端のフラグメントであり、正常ではほとんど検出されず、担癌生体循環血液中に出現し、血管新生を協力に阻害する。そこで、ヒト肝癌培養細胞HepG2から、ヒトプラスミノーゲンcDNAをPCRを用い増幅後、Kringle domain(K1-K4)に相応する部位を切り出し、発現ベクター(pRC/CMV)に挿入し、目的とするプラスミドをクローニングした。このプラスミド(pRC-K1-4)をリポフェクション法を用いHeLa細胞に一過性に導入後、培養細胞から蛋白液を採取した。そして、この細胞蛋白液を用い、ウエスタンブロット法でアンギオスタチン(K1-4)の存在を確認したところ、約40KDのバンドを得ることができた。このシステムにおいて、アンギオスタチンを分泌型にする目的で、K1-4に加え secretory signal seguence (SS) 及びpreactivation peptide(PA)を含む発現ベクター(pRC-S-K1-4)を作成し、HuH7ヒト肝癌培養細胞株にNeo耐性遺伝子発現ベクター(PSV-Neo)とともにco-transfectionし、G418の存在下で3週間培養した。しかしながら、この際、G418抵抗培養細胞クローンは少数しか得られず、また培養液中にアンギオスタチンの存在を確認し得なかった。現在、同様の方法でアンギオスタチン分泌型HuH7細胞のクローニングを検討している。さらに、S-K1-4を組み込んだレトロウイルスベクターを作成し、このウイルスベクターの感染によりアンギオスタチン発現肝癌培養細胞株の樹立を試みている。
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