研究概要 |
これまで我々は健常者とHCV陽性キャリアーにおけるペプチド特異的CTLの誘導能に差があるか検討し、特に肝硬変・肝癌患者で樹状細胞による腫瘍抗原あるいはウイルス抗原特異的細胞障害生Tリンパ球(CTL)誘導能が低下しおり、その差異は抗原提示に関与する表面分子(CD80/86,HLA class I)の発現の差異に基づくのではなく、反応上清中に分泌されるサイトカイン(IL-4,IL-10,IL-12,IL-18,TNF-α,IFN-γ)のうち樹状細胞が分泌するIL-12に対する反応性の差、中でもIFN-γの産生能の低下による可能性があることを報告してきた(現在投稿準備中)。また、ペプチドを用いた免疫療法を考えるとき腫瘍特異抗原とそのHLA拘束性のCTLエピトープは非常に限られているので、HLAに関係なくCTLを誘導する方法を開発するため、ウイルスや腫瘍特異抗原を発現するプラスミドを包埋したPLGA microspheresを樹状細胞に貪食させ、腫瘍特異抗原特異的CTLを誘導できるか検討している。まず、HCV core/E1,CEA,MAGE2,MAGE3,HER2を発現するプラスミドを構築し、樹状細胞に貪食させ、これら蛋白を発現するかWestern blotting法により確認し、実際に末梢血(Responder cell)に反応させてIFN-γが産生されるかを確認した。本方法はウイルスを用いることなく樹状細胞へ効率的に遺伝子を導入する新しいデリバリーシステムとして遺伝子免疫療法として応用しうると考えられた。さらに、実際に抗原特異的なCTLが恒常的に誘導できるかについて、2001年消化器病学会で発表予定である。
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