研究概要 |
これまでの非ウィルスベクターは発現効率が低く、その開発が望まれてきた。そこで我々が開発してきたplasmid vectorはEBNA1/oriP systemを有し、同systemに自殺遺伝子Herpes simplex virus 1-Thymidine kinase(HSV 1-Tk)を結合したplasmid vectorを作製した。cationic lipo-someやpolyamidoamine dendrimer(PAAD)と組み合わせ、ヒト肝癌細胞株やEwing肉腫に導入し、EBNA1/oriPを取り除いたcontrol vectorと比較したところ、300〜1000倍もの殺効果を認めた(Y Harada,M Iwai,et al.Cancer Gene Ther7,27,2000,H maruyama-Tabata,et al.Gene Ther7,53,2000)。 そこで我々は、ヒトCEA陽性胆管癌細胞株に、同上のsystemにCEAプロモーターと自殺遺伝子を結合させたplasmidをcationic liposomeおよびPAADと組み合わせ、投与したところ、CEA産生細胞に強い殺効果が見られこの事実を報告した(S Tanaka,M Iwai,et al.Cancer Gene Ther7,1241,2000)。しかるに、非ウイルスベクターによるEBNA1/oriP systemを用いた自殺遺伝子治療はin vitroのみならずin vivoで殺効果は強く、癌特異的に殺効果も期待できる事が判明した。今後AFP陽性肝細胞癌への殺効果について、EBNA1/oriP systemにAFPプロモーターを有するplasmidを用い、検討する予定である。
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