アラキドン酸および活性酸素代謝レベルからみた胃癌細胞増殖と制御機構の分子論的解析

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11670526
• 研究機関: 大阪市立大学
• 研究代表者: 荒川 哲男 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60145779)
• 研究分担者: 藤原 靖弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40285292) ; 樋口 和秀 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20218697)
• キーワード: 胃癌細胞 / 大腸癌細胞 / アポトーシス / 遺伝子治療 / アデノウィルス / MAP kinase

研究概要

すでに樹立化されている胃癌および大腸癌細胞を使用し、細胞内情報伝達機構の中で中心的役割を担うMAP kinase系の活性化について検討下結果、消化管における胃癌および大腸癌細胞においてもその活性化の優位性に相違が認められた。特に、胃癌細胞においてはMAP kinase系のERKの活性化が、大腸癌細胞ではJNKの活性化が有意であることが判明した。そこで特に大腸癌細胞において、JNKのdominant negativeを組み入れたアデノウイルスを用いて増殖・アポトーシスに与える影響について検討した。その結果、JNK-dominant negativeを添加した細胞への感染効率は高く、さらに細胞増殖を有意に抑制した。さらにその抑制機序は、アポトーシスの誘導ではなく、細胞周期におけるG1静止であることが判明した。一方、ヌードマウスの皮下移植において、dominant negativeを組み入れたアデノウイルスの局所投与では、その局所での強発現が確認されており、その腫瘍体積への変化ならびに組織学的変化、さらには増殖・アポトーシスに関連する蛋白質発現あるいは酵素活性、さらには個体に対する生物学的毒性などについて現在検討中である。臨床的に消化器固形癌は、局所投与が手技的にも簡便であり、副作用面を考慮すると最も有効であることが推測され、本研究の確立を進行させている。

研究成果

• [文献書誌] Fujiwara Y et al.: "Effect of Helicobacter pylori culture supernatant on acute reflux esophagitis in a rat model"HepatoGastroenterology. 48(42). 1611-1615 (2001)
• [文献書誌] Shiba.M et al.: "Risk associated with reprocessed reusable endoscopic instruments"Aw.J Gastroenterol. 96(12). 3465-3467 (2001)
• [文献書誌] Hamaguchi M et al.: "Mechanisms and roles of aeatrophil infiltration in stress induced gastric injury in rats"Dig.Dis.Sci.. 46(12). 2708-2715 (2001)
• [文献書誌] Takashima T et al.: "PPAR-gamma ligande inhibit growth of human esophageal adenocarcinoma cells through induction of apoptosis cell cycle arrest and reduction of orrvthine decarb activity"Int J Oncol. 19(3). 465-471 (2001)
• [文献書誌] Watanabe T et al.: "Acid regulates inflammatory respouse in a rat model of induction of gastric ulcell recurrence by interleukin 1 beya"Gut. 48(6). 774-781 (2001)
• [文献書誌] Tominaga et al.: "Expression of gene for E III A-and E IV B-fibronectin, fetal types of fibronectin during geotric, uncer healing in rats"Dig.Dis.Sci.. 46(2). 311-317 (2001)