研究課題/領域番号 |
11670527
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
福井 博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80145838)
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研究分担者 |
植村 正人 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90151836)
栗山 茂樹 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50244710)
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キーワード | エンドトキシン / エンドトキシン結合蛋白 / 肝硬変 / TNF-α / マクロファージ / アルコール |
研究概要 |
今年度は、生体内に近い実験条件としてエンドトキシン(Et)結合蛋白(Lipopolysaccharide binding protein:LBP)存在下における生体内マクロファージのサイトカイン産生能を検討した。すなわち、SD系雄性ラットよりKupffer細胞、肺胞マクロファージ、腹腔マクロファージを採取し、同細胞数条件(5X10^4 cells/ml)にそろえ、1%ラット血清添加(LBP存在)あるいは非添加時(LBP非存在)条件下でE Coli Et 100ng/mlで刺激し、3時間培養後、培養液中のTNF-α濃度を測定し、TNF-α産生能の指標とした。その結果、Kupffer細胞、腹腔マクロファージ、肺胞マクロファージのTNF-α産生能は、LBP非存在下ではそれぞれ21.2、127.5、9.9pg/ml(平均)、LBP存在下ではそれぞれ149.0、932.5、241.2pg/ml(平均)であり、各マクロファージによりTNF-α産生能に著明な差があり、LBP添加によりTNF-α産生能が6〜24倍増強することが判明した。この結果より、今後はマクロファージ機能をLBP存在下で検討すべきであろうとの判断に立ち、これらの細胞をアルコール(エタノール10、50、100mM)存在下に前処置した時にTNF-α産生能がどうなるかを次に検討した。その結果、エタノール添加により、これら細胞のTNF-α産生能は抑制されるが、LBP存在下では肺胞マクロファージのTNF-α産生能が高値に留まることが判明した。この成績は、アルコール摂取時に肺胞マクロファージが多量の細胞障害性TNF-αを放出することを間接的に支持するものであり、今後さらにエタノール慢性投与ラット、肝硬変ラットでも同様の成績が得られるか否か検討の予定である。
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