研究課題/領域番号 |
11670527
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
福井 博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80145838)
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研究分担者 |
植村 正人 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90151836)
栗山 茂樹 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50244710)
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キーワード | エンドトキシン / エンドトキシン結合蛋白 / 肝硬変 / TNF-α / マクロファージ / アルコール |
研究概要 |
今年度は肝硬変ラットの各種マクロファージ機能を検討した。すなわち、チオアセタマイド6ヶ月間投与肝硬変ラットとコントロールラットからKupffer細胞、脾マクロファージ、肺胞マクロファージを採取し、同細胞数条件にそろえ、蛍光ラテックスビーズの摂取能ならびにLPS存在下、非存在下でのTNF-α、IL-1β、IL-6、IL-10産生能を検討し、以下の結果を得た。1)肝硬変ラットではコントロールラットに比べ、Kupffer細胞の平均蛍光強度が有意に低く、肺胞マクロファージの平均蛍光強度が有意に高く、脾マクロファージでは有意差を認めなかった。2)LPS非刺激下のKupffer細胞培養上清中TNF-α濃度は、肝硬変ラットで有意に低値であったが、肺胞マクロファージ、脾マクロファージではコントロールと変わらなかった。LPS刺激下のKupper細胞培養上清中のTNF-α濃度は、肝硬変ラットで有意に低値で、肺胞マクロファー培養上清中のTNF-α濃度は肝硬変ラットで高値であった。3)肝硬変ラットにおけるマクロファージ培養上清中のIL-1β濃度は、コントロールラットに比べ、LPS刺激下、非刺激下いずれにおいても、Kupffer細胞で低く、肺胞マクロファージ、脾マクロファージで高い傾向にあった。4)各細胞培養上清中のIL-6濃度は、LPS刺激下、非刺激下いずれにおいても、肝硬変ラットとコントロールラット間で差を認めなかった。5)LPS非刺激下の肺胞マクロファージ培養上清中のIL-10濃度は、肝硬変ラットで有意に高値であったが、Kupffer細胞、脾マクロファージについてはコントロールと変わらなかった。LPS刺激下のKupffer細胞培養上清中のIL-10濃度は、肝硬変ラットで有意に低値であったが、肺胞マクロファージ、脾マクロファージについてはコントロールと変わらなかった。以上のように、肝硬変では各種マクロファージの機能が変化し、病態形成にかかわっている可能性が示唆された。
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