研究課題/領域番号 |
11670533
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
竹井 謙之 順天堂大学, 医学部, 講師 (10306954)
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研究分担者 |
榎本 信行 順天堂大学, 医学部, 助手
池嶋 健一 順天堂大学, 医学部, 助手 (20317382)
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キーワード | アミノ酸 / グリシン / 腸管 / 免疫薬理学的栄養作用 / マクロファージ / エンドトキシン |
研究概要 |
本研究では、アミノ酸による免疫・薬理学的栄養作用を介した腸管機能のモデュレーションに関して、特に消化器病領域での治療への応用を目標として検討を進めている。今まで私たちのグループはアミノ酸、とりわけグリシンにエンドトキシン肝障害抑制作用があり、そのメカニズムとして肝マクロファージであるKupffer細胞の活性化抑制作用があることを明らかにしてきた。本年度は以下の点に焦点を絞り検討を行った。 (1)アミノ酸の肝類洞内皮細胞保護作用に関する検討。初代培養肝類洞内皮細胞(以下SEC)における増殖因子枯渇時のアポトーシスに対するグリシンの保護効果を検討した。SECを各種増殖因子添加培地を用いて初代培養を行った上でVEGF非添加培地に培地交換することによりアポトーシスを誘導した。この系において培地へのグリシン添加(1-10mM)により有意にアポトーシスの抑制が認められた。このアポトーシス抑制効果は他のアミノ酸(グルタミン酸、アラニン、ロイシン等)では認められず、グリシン固有の作用であることが明らかとなった。 (2)炎症性腸疾患モデルにおけるグリシンの保護効果についての検討。Wistar系雄性ラットを用いてdextran sulfate sodium(DSS)腸炎モデルを作成し、グリシン前処置による保護効果について検討を開始した。コントロール群では5%DSS含有水の自由飲水により3〜4日後に下血を伴う腸炎を発症し、5〜7日後には致死に至ったが、5%グリシン含有飼料を同時に投与した群では腸炎の程度が軽度で致死率も低い傾向を認めた。 (3)ラットの腸管透過性に関する検討。具体的にはエンドトキシン静注後のラットより大腸および小腸組織を採取しhorse radish peroxidase透過性をex vivoで測定する方法をセットアップし、グリシン経口前処置の影響について検討を開始した。 今後、上記の予備実験の結果を踏まえアミノ酸の腸管および肝臓に対する保護効果を免疫薬理栄養の側面から検討していく方針である。
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