研究概要 |
(1)昨年度までの検討でマウスアルブミン・アセトアルデヒドアダクト(C-ADT)により免疫し、慢性アルコール投与を行ったマウスでは、全身リンパ節のリンパ球には著明な免疫応答を誘導することができたが、血清学的にも組織学的にも肝細胞障害を惹起することができなかった。このため、肝臓への免疫応答を誘導するため、同じモデルを作成し、全身リンパ節からT細胞を分離し、慢性アルコール投与したマウスに経静脈的あるいは経門脈的に投与し、肝細胞に免疫応答、肝細胞障害を起こすことができるか現在検討中である。 (2)B6マウスの骨髄液を採取し、磁気ビーズによりCD4,CD8細胞を除去し、Inabaらの方法(J Exp Med176:1693,1992)により、GM-CSFおよびTGF-βとともに1週間培養し、マウス樹状細胞を得た。現在マウス樹状細胞をpolyethylene glycol法によりC-ADTあるいはマウスアルブミンと融合させ、融合体を作成し、B6マウスに上記3と同様に慢性エタノール投与を行い、融合体での免疫、アルコール投与により以下の4群に分類し実験を行い検討中である。 1群:マウスアルブミン-樹状細胞融合体で免疫し、アルコール投与せず 2群:マウスアルブミン-樹状細胞融合体で免疫し、慢性アルコール投与 3群:C-ADT-樹状細胞融合体で免疫し、アルコール投与せず 4群:C-ADT-樹状細胞融合体で免疫し、慢性アルコール投与 アルコール投与は10週間行い、また融合体による免疫は2週間隔で計3回施行予定である。各群のマウスを10週後実験に供し、心臓より血清を採取し、また肝臓を摘出する。肝臓を組織学的に検討するとともに、既に作成した抗ADTIgG抗体を用い、免疫組織学的にも検討する予定である。また血清学的に肝障害の差異を検討する予定ある。
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