研究概要 |
(1)マウスアルブミンを用いて、Israel Yら(Proc Natl Acad Sci USA83:7923-7927,1986)の方法に従って、アセトアルデヒドアダクト(ADT)を作成した。またこれらを抗原として雌のウサギに免疫し、血清より抗ADTIgG抗体を精製した。 (2)免疫応答の良好なマウスを選択するため、系統の異なる4種類のマウス(B10S, BALB/C, C3H, B6)に対し、マウスアルブミンあるいはADTで免疫した後、各マウスリンパ節よりリンパ球を採取し、アルブミンまたはADTで刺激した後に培養し、^3H-thymidineの取り込みによりStimulation Index(SI)を測定し、免疫応答を検討した。その結果B6マウスが最も免疫応答が良好であり、以下の実験にB6マウスを使用した。 (3)上記の結果を基に、慢性アルコール投与の有無と、アルブミンあるいはADTによる免疫の有無で、B6マウスを6群に分けて検討したところ、ADTで免疫し、慢性アルコール投与を行った群のマウスのリンパ球ではSIによる検討で、著明な免疫応答を認めたが、血清学的にも、組織学的にも肝細胞障害は惹起することはできなかった。 (4)この結果から、同モデルでは肝障害を誘導できなかったものの、リンパ節レベルでの免疫応答の誘導は惹起することができており、これらのリンパ節よりT細胞を分離し、慢性アルコール投与したマウスに経静脈的あるいは経門脈的に投与し、肝細胞に免疫応答、肝細胞障害を誘導できるかどうか現在検討中である。また樹状細胞とアセトアルデヒドアダクトとの融合体はさらに強力な抗原提示機能を獲得することが予想されることから、この融合体を作成し、融合体による免疫と慢性アルコール投与によるアルコール性肝炎モデルの作成に関して現在検討中である。
|