研究概要 |
我々は、yeast two hybrid systemによるcDNA LibraryのスクリーニングによりHBxと結合する2619塩基,ORF1359塩基,453アミノ酸をコードする遺伝子をクローニングし、X Associating Factor-1(XAF-1)と命名し、この遺伝子が、ショウジョウバエの癌抑制遺伝子であるTid56のhuman homologであることをみいだした.ノーザンブロットによるヒト各臓器におけるXAF-1 mRNAの発現では、ユビキタスに発現を認めた.またXAF-1、HBxのGST fusion proteininを作成し、in vitro binding assayを行い、in vitroでの結合を確認した。我々のクローニングとほぼ同時期に子宮ガン発癌のウイルス癌遺伝子であるパピローマウイルスtype16 E7蛋白が結合する新規ヒト癌抑制遺伝子がhTid-1という名前で報告され、XAF-1とhTid-1は,XAF-1の1341番目の塩基部に117塩基が挿入されたalternative splicing formであることを見いだした.各種肝癌培養細胞株におけるXAF-1及びhTid-1mRNAの発現をみると、広く両者の発現を認めた.HepG2細胞にXAF-1遺伝子を導入し、この細胞に対するFas刺激によるアポトーシス誘導能をDAP1染色及びTUNEL法により同定し、MTTアッセイをもちいて定量解析を行ったところ、XAF-1遺伝子導入HepG2細胞では、Fas刺激によるアポトーシスは増加を認めた。また、カンプトテシン、アドリアマイシン投与によるアポトーシス誘導能でも、有意に増加していた。よってXAF-1は肝細胞においてアポトーシスを促進させる方向に働いていると考えられHBxとの結合によりこの機能不全が起こされることが考えられた。
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