1.肝癌細胞におけるARAとMRP6遺伝子の発現パターンと発現量 平成11年度に、ヒト肝癌細胞HepG2、Huh7、PLC/PRF/5、HCC-T、HCC-MからmRNAを精製し、RT-PCRを行い、これら全ての肝癌細胞にARA・MRP6遺伝子が発現していることを確認した。平成12年度はARA・MRP6遺伝子の発現量をノーザンブロット法にて測定したところ、上記の培養細胞ではARA・MRP6遺伝子は同量の発現を認めた。 2.抗癌剤によって肝癌細胞に誘導されるARAとMRP6遺伝子の選択性 ヒト肝癌細胞HepG2、Huh7、PLC/PRF/5をepirubicin(10ng/ml)とともに7日間培養した。培養開始後7日まで経時的にARA・MRP6遺伝子の発現量を測定したが、両遺伝子の発現は有意には誘導されなかった。 3.抗癌剤耐性肝癌細胞におけるARAとMRP6遺伝子の増幅 抗癌剤耐性肝癌細胞を樹立するため、上記ヒト肝癌細胞をepirubicin添加培地で培養し、epirubicin(100ng/ml)耐性Huh7細胞樹立した。サザンブロット法を用いるとこの耐性細胞のARA・MRP6遺伝子は増幅していた。 4.MRPによって肝細胞から胆汁中に排泄される薬剤の抗癌剤耐性におよぼす影響 上記ヒト肝癌細胞を、MRP2によって肝細胞から胆汁中に排泄されることの知られているglycyrrhizinをepirubicinとともに培養したところ、glycyrrhizinがepirubicinの抗癌作用を増強した。
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