研究課題/領域番号 |
11670549
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
金 基哲 久留米大学, 医学部, 助手 (30279145)
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研究分担者 |
緒方 理子 久留米大学, 医学部, 助手 (50279155)
鳥村 拓司 久留米大学, 医学部, 講師 (60197986)
上野 隆登 久留米大学, 医学部, 助教授 (70176618)
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キーワード | 肝細胞癌 / angiopoietin-1 / angiopoietin-2 / Tie-2 / 血管新生 |
研究概要 |
ヒト肝細胞癌組織におけるangiopoietin-1(Ang-1)、angiopoietn-2(Ang-2)の発現程度と臨床・病理組織学データとの関係を検討するため検討症例数を増やした。より詳細な検討のためには早期の微小肝細胞癌組織を用いる必要があり、症例数豊富なホルマリン固定組織を用いた。発現程度の比較にはAng-1およびAng-2に対する抗体を用いた免疫蛍光染色を行い、安定した結果の得られる共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察、比較検討した。結果、Ang-1の発現程度は臨床的血管新生度と相関関係を認めた(p=0.03)。また、Ang-2の発現程度は肝細胞癌の分化度と相関関係を認め、分化度か低下するにつれて発現が強い傾向にあった(p=0.003)。さらに、臨床的血管新生度とは非常に強い相関関係を示した(p<0.001)。以上より、ヒト肝細胞癌の血管新生にはAng-1、Ang-2ともに強く関与しており、特にAng-1が重要な因子であると考えられた。また、Ang-2はヒト肝細胞癌の脱分化と関係があることから、ヒト肝細胞癌の増殖、浸潤、転移の過程において何らかの役割を担っている可能性が考えられた。次に、ヒト肝癌細胞株(Huh7,Hep3B,KYN-2)におけるAng-1、Ang-2の産生および最も強い血管新生誘導刺激の一つである低酸素状態での産生変化をWestern blot、RNase protection assayを用いて検討した。結果、Ang-1は全てのヒト肝癌細胞株に発現していた。Ang-2は高分化型肝癌細胞株であるHuh7には発現が見られず、分化度の低いHep3B、KYN-2には発現が見られた。低酸素条件ではAng-2の産生を認めたHep3B、KYN-2においてAng-2の発現が増強した。Ang-1の発現に差は無かった。Ang-1、Ang-2を過剰発現したヒト肝癌細胞株作製は、現在Ang-1、Ang-2のcDNAを作製しretrovirus vectorに組み込む段階であり進行中である。
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