研究概要 |
血管新生抑制物質であるエンドスタチンとクリングル1-5の肝細胞癌にたいする抗腫瘍効果を検討するため各々のcDNAを100μgつりリポゾーム法にてマウスの肝臓に肝癌細胞株(KYN-2)を200×10^4個接種7日後から週2回のわりで尾静脈から投与する群と対照群との肝癌細胞接種後4週目での腫瘍体積を比較した。なを、各々のcDNAを投与する際により大量の遺伝子発現が肝臓で起こるようにリポゾームとcDNA混合液100μlにつき1μlのアシアロ・フェチンを加えた。その結果、エンドスタチン投与群のマウスの肝臓には6例中3例に腫瘍結節が認められず残りの3例に形成された腫瘍体積は131mm^3,152mm^3,133mm^3,であり平均腫瘍径は69.5±76mm^3,であった。また、クリングル1-5投与群では、4例中に2例に結節を認めず残りの2例で腫瘍径は133mm^3,112mm^3であった。一方、対照群では7例中すべてのマウスの肝臓に腫瘍形成が認められ、平均腫瘍径は2157±1386mm^3であった。また、マウスの各臓器でのエンドスタチンとクリングル1-5の遺伝子発現を検討した結果肝臓、肺での発現が強く認められた。また、Mount Sainai大学のDr. Wooより供与されたエンドスタチンのcDNAが組み込まれたアデノウイルスベクターをマウスの肝臓に肝癌細胞株(KYN-2)を200×10^4個接種7日後に腹腔内に投与し肝癌細胞接種後4週目での腫瘍体積を対照と比較した。その結果、エンドスタチンのcDNAが,組み込まれたアデノウイルスベクターを投与した群では腫瘍体積は180±129mm^3、対照群は1797±1228mm^3であった。以上の結果から血管新生抑制物質であるエンドスタチンとクリングル1-5のcDNAを用いた遺伝子治療は肝細胞癌の増殖を有意に抑制することが証明された。
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