3カ年計画の1年目にあたる平成11年度では、トランスジェニックマウス作製のために導入するSmad6の全域をコードするcDNAを癌研の宮園浩平先生から提供していただいた。そのSmad6cDNAはpcDNA3プラスミドに組み込まれており、そのままpcDNA3プラスミドのプロモーターとともにトランスジェニックを行うと全身の臓器でSmad6の発現がみられることになるので、膵臓のみでSmad6を過剰発現させるためラットエラスターゼIのプロモーター領域をテキサス大学サウスウエスタンメディカルセンターのGalvin Swift博士から提供していただいた。そのエラスターゼIプロモーター領域、転写効率をあげるためのβグロビンイントロン領域、Smad6の全域をコードするcDNA領域、ポリ(A)領域をもつプラスミドを作製することができた。現在までにそれらの領域をプラスミド自身のDNA領域を除外して精製する段階まで至っている。 来年度マイクロインジェクション法をもちいてトランスジェニックマウスを作製する予定である。実際には交尾を確認した採卵用雌マウスの卵管から受精卵を取り出し、ホールディングピペットで卵を吸入して固定した後、インジェクションピペットにて受精卵の前核へ、今年度精製したDNAを微量注入する予定である。
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