研究概要 |
染色体11q13領域には高親和性IgE受容体β鎖遺伝子(FCER1B)が存在するが、我々は以前に同領域の遺伝子マーカーと総IgE値との遺伝的な関連を日本人集団で確認した(J Med Genet 1995)。今回、IgE受容体β鎖遺伝子に新たにプロモーター領域の点突然変異(-109C→T)を発見し、この変異が喘息の発症、病態や総IgE値の多寡に影響を与えている可能性を報告した(Am J Respir Crit Care Med 2000)。一方、我々はIL4遺伝子のプロモーター領域にも新たな点突然変異を見出し(+33C→T)、この変異が血清総IgE値の多寡に有意な遺伝的影響を与えていることを報告した(Immunogenetics 2000,Clin Exp Allergy 2000)。さらにCTL/14遺伝子のプロモーター領域の多型(-318C→T)が喘息患者において血清総IgE値の多寡にも影響を与えていることを発見した。さらにFCER1BとCTL/14とのそれぞれのプロモーター領域の多型には交互作用がある可能性も考えられた(投稿準備中)。CTL/14遺伝子とサルコイドーシスの発症との間には明らかな遺伝的関連は認められなかった。これらの一連の研究結果から気管支喘息や血清総IgE値はより多くの遺伝因子と環境因子との複雑な交互作用の結果として発症してくると考えられた。
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