1)ヒト気管支平滑筋におけるendothelin-1の作用についての検討:ヒト気管支平滑筋細胞を用い、パッチクランプ法により電気生理学的検討を行うとともに、、細胞内Ca^<2+>濃度をfura-2AMにより検討した。喘息などの病態において重要な役割を演じているendothelin-1(ET-1)及びhistamineは、いずれも細胞内Ca^<2+>を増加させること、ET-1の作用は、ヒト気管支平滑筋細胞においては、ET-A及びET-B受容体を介していること、さらに、このCa^<2+>上昇には、Ca^<2+>透過性非選択性陽イオンチャネルの活性化が重要な役割を演じていることが判明した。又、ET-1のこのチャネルの活性化のEC_<50>は、約10nMであり、この作用も又、ET-A及びET-B受容体を介することが判明した。さらに、RT-PCR法により、ET-A及びET-B受容体のmRNAの存在が確認された(Am J Res Cell Mol Biol 2000;23;213-221.) 2)ヒト気管支平滑筋のK^+チャネルの検討:ヒト気管支平滑筋のK^+チャネルにつき、パッチクランプ法ならびに分子生物学的検討を行った。ヒト気管支平滑筋には、電位依存性K^+チャネル(K_y)のほかに、内向き整流K^+チャネルが見とめられ、これが、静止膜電位の形成において重要な役割を演じていると考えられた。このチャネルは、低濃度の細胞外Ba^<2+>で抑制され、その50%抑制濃度は約1.8μMであった。RT-PCRによるmRNAの検討では、Kir2.1より形成されていると考えられ、実際このチャネルのanti-sense DNAを投与した細胞では、その発現が抑制された(Am J Res Cell Moll Biol submitted)。このチャネルは、気管支のtonusの調節において重要な役割を演じていると考えられた。
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