研究概要 |
1.薬剤の気管内投与によるマウスの肺内好中球集積とその再現性に関する検討. マウス肺における好中球集積モデルとしてLTB_4,ブレオマイシン,シリカの気管内投与を行い,肺内への好中球の集積を気管支肺胞洗浄液(BALF)所見から解析した.LTB_4投与ではBALF好中球分画>10%は約2割,ブレオマイシン投与では好中球分画>50%は約5割の個体でのみ認められ,再現性が不十分であった.シリカ投与ではBALFにシリカが回収される場合は好中球分画は40-80%に著増し,シリカが回収されない場合は好中球増多を示さなかった.シリカ気管内投与の結果から,投与された薬剤が喀出され肺内に沈着しないことが再現性不良の原因であると判断された.シリカの場合はBALFでの回収の有無から肺内沈着の有無が容易に判断できるため気管内投与の薬剤として適している. 2.シリカ気管内投与モデルでのCMFDA標識LTB_4受容体発現CHO細胞のin vivoケモタキシスアッセイ. マウスにシリカを気管内投与後,CMFDA標識LTB_4受容体発現CHO細胞及びCMTMR標識対照CHO細胞を尾静脈から静注し,BALにてBALFへのCMFDA標識LTB_4受容体発現CHO細胞の出現の検討を行ったが,BALF細胞中にCMTMR標識細胞・CMFDA標識細胞共に出現は認められなかった.LTB_4受容体発現CHO細胞が肺内毛細血管や肺胞上皮に接着している可能性を考え,肺組織を摘出し切片を作製,蛍光顕微鏡にて組織学的に蛍光標識細胞の検討を行ったが,組織内における非特異的蛍光などの問題があり,確定的な結果を得るには至らなかった.
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