研究概要 |
BCG死菌によるラット肺肉芽腫モデルを作製し,肉芽腫内のDCの分布をラットDC特異的抗体OX62を用いた免疫染色を行って経時的に検討したところ,多数のOX62陽性細胞が肉芽腫周囲に浸潤していることが明かとなった.肉芽腫肺を酵素処理し,OX62陽性細胞をmagnetic cell separator(MACS)を用いて単離し,two-color flow cytometryによってOX62陽性細胞のMHC classII,B7-1,B7-2,CD40などの表面抗原や接着因子の発現を検討したところ,単離したOX62陽性細胞の95%以上はMHC classII,B7-1,B7-2を強く発現し,T細胞やマクロファージに対する抗体は陰性であった.さらに,これらのOX62陽性細胞の超微形態を電顕で観察したところ,DCに特徴的な多数の樹状突起が認められた.また,単離細胞はallogeneic mixed lymphocyte reactionにおいて強い抗原提示能を示し,PPD特異的T細胞を増殖させ,BCG由来のペプチド表出したDCと考えられた.したがって,DCはBCGによる肺肉芽腫形成において,その強い抗原提示能を介して,BCG由来のペプチドを呈示し,肉芽腫形成に重要な役割を果たしていることが明らかとなった.
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