研究概要 |
健常肺および肺線維症由来線維芽細胞を用いて,α-SM actinのプロモーター解析を行い,転写促進および抑制に働くエレメントの同定を試みた.α-SM actinの転写制御に関する解析では,現時点で疾患による差を証明できていない.引き続き解析を進めるとともに,平成12年度は,形質変換に関与すると考えられる細胞内骨格分子:平滑筋型ミオシン重鎖,インテグリン(特にα1,α5)に関して肺線維芽細胞特異的遺伝子のpositive elementの同定,特異性を規定する因子の検索を並行して行う. 平成11年実績では,線維化肺由来の培養線維芽細胞において,健常肺由来の培養線維芽細胞に比べてFibronectin(extra domain-A epitope)およびTGF-β1の発現が増強していることを蛋白レベルで新たに確かめるとともに,予備的実験においてglucocorticoidsによる発現の修飾を示唆するデータがえられた.転写レベルでの解析は未施行である.当初の研究計画の結果を解析する上で参考にしていきたい. 当科で治療中の間質性肺疾患,特に肺線維症患者の家系集積データを検討した.平成11年実績では,該当する家系が3家系であった.集積調査は予想以上に難航した.同一家系の肺疾患を有していない者を含め,同意の上,臨床サンプルを採取し,疾患感受性を規定する遺伝子の単離同定作業を継続する予定である.得られたデータは公開・共有していきたい.
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