(目的) 喘息に関与するサイトカイン、ロイコトリエンの相互関係がどのような生体内での修飾を受けているのかは明らかではない。その関係を解明することによって、IgE産生、好酸球浸潤を中心とする気道炎症と臨床病態との関連について解析をする。 (研究の成果) 1.加齢、IgE系反応および気道過敏性との関連について検討を行い、高齢者喘息ではIgE系反応の関与が比較的少ないこと、さらに気道過敏性はIgE系反応ならびに発症年齢と関連があることが示唆された。 2.喘息患者の末梢白血球からのロイコトリエンB4、C4産生能を検討したところ、ロイコトリエンC4産生能はIgE系反応と喘息の増悪に関与し、ロイコトリエンB4産生能は気道過敏性に関与している可能性が示唆された。 3.喘息とともに気道炎症の認められる慢性閉塞性肺疾患(COPD)においても、その病態にロイコトリエンB4、C4が関与している可能性が示唆された。そのロイコトリエンC4産生にはIgE系反応が関与していることも示された。 4.喘息の発作時には、非発作時に比較してロイコトリエンC4産生能が上昇する傾向が認められた。それとともに喘息の発作時には、血中のECPおよびIL-4、IL-5、IL-13は上昇傾向にあることが示された。さらに、末梢血単核球からのIL-5産生も上昇傾向にあることが示された。 5.以上のことから、喘息における気道炎症は加齢、IgE系反応およびロイコトリエンとともに、サイトカインが深く関与していることが示唆された。 以上の研究成果をふまえロイコトリエン及びサイトカインをターゲットにした新たな治療法の開発についての検討を行う予定である。
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