T細胞由来の好酸球遊走因子の精製については、T細胞株の培養上清約101を硫酸アンモニウムによる塩析を行い約10分の1の容量に濃縮した。多糖体カラム(β-D-glucose)を作製し、濃縮液をこのカラムに通し、吸着させた後溶出するaffinity精製を行った。しかしながら、十分な好酸球遊走活性をもつ蛋白の精製には至らず、今後さらに、精製については、その方法について根本的に検討が必要である。 好酸球性肺炎における末梢血好酸球と気管支肺胞洗浄細胞中の好酸球の機能の相違の検討について、アポトーシスに与える影響を検討した。部分精製した好酸球遊走活性物質を用いて末梢血と気管支肺胞洗浄液中の好酸球を培養したところ、interleukin5で認められたのと同様に3日間の培養で、いずれの好酸球もアポートシスが抑制され、生存延長を認める結果を得た。このことは、本物質が好酸球の遊走ばかりでなく、アポートシスの抑制という新たな生物学的活性をもち、病変形成と炎症の維持に関与していることを示唆する結果である。さらに、末梢血と気管支肺胞洗浄液中の好酸球は、後者のほうがアポートシスを起こしにくい性質をもっていることが判明した。この相違は、Fas抗原の発現とFas抗体によるアポートシスの誘導において両者に差がみられたことと間連性が認められた。以上のことから末梢血と気管支肺胞洗浄液中の好酸球はアポートシスの機序が異なっている可能性が示唆され、今後、さらに解析をすすめる必要があると考えられる。
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