T細胞由来の好酸球遊走因子の精製は、まだ十分な好酸球遊走活性をもつ蛋白の精製には至っていない。本物質は、微量の蛋白濃度しか得られない点、また、非特異的に吸着しやすい性質をもち、従来の方法である蛋白からの精製法では物質の同定は難しいことが判明した。分子生物学的手法を用いる方法に変更する検討を要する。 しかしながら、前述の検討の過程で、次の結果が得られた。末梢血好酸球と気管支肺胞洗浄細胞中の好酸球の機能の相違の検討をinterleukin5(IL-5)を用いてアポトーシスに与える影響を検討した。IL-5と培養することにより、いずれの好酸球もアポートシスが抑制され、生存延長を認める結果を得た。さらに、末梢血と気管支肺胞洗浄液中の好酸球は、後者の方がアポートシスを起こしにくい性質をもっていることが判明した。IL-5は好酸球性肺炎において気管支肺胞洗浄液中に上昇しているといわれており、IL-5の本疾患の病態への関与の機序の1つを明らかにした。Fasを介したアポートシスの誘導において両好酸球に差が認められた。以上のことをまとめて、現在、Eurropian Respiratory Journalに掲載予定である。今後、さらに解析をすすめる必要があると考えられる。
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