研究概要 |
1.HER2由来ペプチドによる肺がん細胞特異的細胞障害活性の誘導 HLA-A2402保有ヒト末梢血からIL-4およびGM-CFS添加培養により誘導したDCにHER2由来ペプチド(63-71,780-788)を感作し末梢血由来Tリンパ球をエフェクター細胞としてペプチド感作DCとIL-2,IL-7存在下でCO2インキュベーターで共培養した後磁気細胞分離装置によりCD8陽性Tリンパ球をネガティブ・セレクションした。この再感作してCTLがHLA-A24陽性HER2発現非小細胞肺がん細胞株(PC9)を標的細胞としてペプチド特異的CTL活性がクロム放出試験で確認された。 2.複数ペプチド使用による細胞傷害活性に与える効果 同一HLA拘束性を有するペプチドのコンビネーション効果を検討する目的でをHER2(0201);369-337,654-662,HER2(2402);63-71(臨床試験),MAGE3(0201);271-279,MAGE2(0201);157-156を感作源としてPC-9(A2402/0206,HER2 positive,MAGE3(2)positive)SW403(A2(0201),MAGE2&3 positive,HER2 positive)を標的として特異的細胞障害活性に関して検討中である。 3.ペプチド特異的細胞性免疫能の評価法 ペプチド特異的細胞性免疫能の誘導能の評価としてまずDCにペプチド感作後に末梢血Tリンパ球との協培養時の培養上清におけるサイトカインの産生量に関して検討を加えた。IFN-γ,TNF-α,GM-CFSに関してELISA法により検討を加えた結果,サイトカイン産生量の多い場合はペプチド特異的細胞障害活性を認めた。 4.ヒトにおけるHER2由来ペプチド投与臨床第一相試験 上記HER2由来ペプチド(63-71)のヒトにおける臨床第一相試験に関して三重大学第2内科との共同試験が現在進行中である。このペプチドにおけるin vitroにおける細胞障害活性は証明済みであり,臨床試験の施行におい当院倫理委員会の承諾を得た。経気管支肺生検検体でHER2発現を免疫組織染色法で確認し,HLA-A2402の保有をDNA-PCR法により確認した患者において現在進行中である。 5.アポトーシス誘導細胞を使用した特異的免疫能の誘導に関して アポトーシスを生じた細胞はDCに高率に貧食され有効に抗原提示される事実をふまえ,紫外線誘発アポトーシス細胞(PC-9)を用い,現在そのペプチド特異的細胞障害活性Tリンパ球の誘導能に関して検討中である。
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