研究概要 |
本研究は、生体の恒常性の維持に重要な役割を演じているアポトーシスが、肺線維化の進展にどのように関わっているかFas,FasLの相互作用に焦点をあてアポトーシスに関係する細胞内シグナル伝達の観点から解析することを目的としている。平成11年度実施したものは下記の通りである。 1.肺線維症モデル作成 正常マウスヘブレオマイシンを経気道的に投与し1,2,3,4週で病理組織学的評価を行った。肺の線維化は2,3週が最も強く4週目では肺の線維化は少なくなっていた。これは、4週目となるとヒトと異なり吸収修復機能が働くと考えられた。肺線維化の分布としては気道に沿った部分に強く、胸膜直下には少なかった。腹腔投与では、胸膜直下に線維化は認められたが、経気道的に投与した場合に比べ弱かった。生理学的評価は当施設が有する小動物用の肺機能測定装置のトラブルにより測定はできなかった。このため平成12年度で行う。分子生物学的評価としてはブレオマイシン投与1週目がFas,Fas,FADDのmRNAレベルの発現は強かった。アポトーシスの評価、ブレオマイシン投与後のagonistic Fas抗体投与における線維化の程度、アポトーシスの評価は、本年度終了しなかったため平成12年度に行う。 2.変異FADD発現アデノウイルスベクターの作成 相同遺伝子組み換えにより変異FADD発現アデノウイルスベクターの作成した。本ベクターを増幅し、平成12年度の実験のためにストックを行った。 本ベクターの機能を評価するためにまずA549肺癌腫瘍細胞株へ感染させ、変異FADDの発現をmRNAで確認、また、Western-blottingで蛋白レベルでも確認した。 現在、本ベクターを用いてFas-FasLを介したアポトーシスの抑制実験を行っている。
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