研究概要 |
平成4年〜平成5年で一般研究Cの課題(「肺線維症に関与するサイトカインの同定-免疫学的および分子生物学的アプローチ」、代表研究者大田健)として間質性肺炎・肺線維症おけるサイトカインの作用を検討し、IL-6、IL-8、GM-CSF、PDGF、TGF-βなどに注目し、主に中和抗体を用い、マウスの肺線維症モデルで各サイトカインの線維症に対するin vivoでの意義を検討した。その結果PDGFに対する中和抗体により肺の線維化が著明に抑制されることを明らかにした(Chest 111:1997)。またHCVがヒトの間質性肺炎に大きく関与しうることをIIP患者の血清を用いて、HCVに対する抗体価の上昇をELISAとRIBA法を用いて確認しており、またRT-PCRによりHCVが高率に検出されることも確認している。平成11年〜12年における本研究CでHCVenvelopeトランスジェニックによる肺の線維化機構の検討を行った結果,ハイドロキシプロリンではwild:wild+silica:HCVenv:HCVenv+silica=250±35:455±40:330±34:695±48とトランスジェニックにより線維化の促進がおこり,さらにシリカ投与によりその線維化が著明に亢進する事を明らかにした。その過程でPDGFmRNAの発現がHCVenvにより亢進することまでは確認したが,蛋白レベルではHCVenvによる亢進が有意であるかさらに検討が必要である。またHCVcoreは極めて妊娠率が低いので経時変化としてwildより肺の線維化が亢進することまでは確認出来ているが,シリカ投与によるその増強の関してはさらに検討する。
|