樹立したヒト肺癌高転移株による高転移能の機序の解明

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11670598
• 研究機関: 日本医科大学
• 研究代表者: 弦間 昭彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (20234651)
• 研究分担者: 植松 和嗣 日本医科大学, 医学部, 助手 (10297880) ; 渋谷 昌彦 日本医科大学, 医学部, 助教授 (50142534) ; 工藤 翔二 日本医科大学, 医学部, 教授 (40256912)
• キーワード: 肺癌 / 転移 / マイクロアレイ / 遺伝子発現 / マクロアレイ

研究概要

我々は、転移に関わる重要な因子を把握するためには、新たな因子を単離するとともに、転移を全体的に捉える戦略を採ることが必要と考えた。そのような実験系作製のため、まず、ヒト肺癌の高転移株を樹立し、その後、この高転移株と親株とを全体的に比較することにより、転移に関わる因子を総合的に捉え、新たな未知の因子の単離を行うことを計画した。
我々は、ヌードマウスへの人工的転移の系を用いてヒト肺癌細胞株の継代を行うことにより、親株に比し明らかな転移能の差を有する二つの高転移株が樹立した。親株とこれらの株の発現に差のある因子を同定するため、マイクロアレイとマクロアレイを用いた解析を行っている。マイクロアレイによる解析により、明らかに発現量に差を認めた12個の遺伝子が選択され、現在、ノーザンブロットやRT-PCRを用いた発現量の確認、遺伝子構造の解析、臨床材料における変異解析や発現解析を行っている。マクロアレイでは、強固な遺伝子の結合が可能な高感度フィルターを用いることにより、既知の遺伝子を中心として多数の遺伝子の発現解析が系として樹立されている。現在、親株と二つの高転移株について解析を行っている。今後、発現の確認、機能解析、臨床材料を用いた解析、マイクロアレイとマクロアレイの結果の再現性等を検討する予定である。