研究概要 |
今年度はCCSP遺伝子がタバコによる肺のリモデリングに関与するか検討するため、CCSPノックアウトマウスにタバコを吸入曝露させ、肺組織で炎症に関連する遺伝子(matrix metalloproteinase(MMP),tissue inhibitor of metalloproteinase(TIMP),Interleukin-10(IL-10),defensin)の発現、8-ヒドロキシグアニン生成を検討した。 【方法】 CCSPノックアウトマウス及びWild typeマウス(129)8-12週齢に、吸入用チャンバー内にてピース1日、20本計4週間の副流煙の吸入曝露を行った。タバコ煙の平均重量濃度は7.2±1.3mg/m3,平均CO濃度は70ppmであった.曝露3日、1週、2週、4週間後に肺よりRNAを抽出。マウスMMP-2、MMP-9、TIMP-2、IL-10とdefensinをプライマーとしてPCRを施行した。 【結果と新たな知見】 3日、4週間のタバコ曝露したCCSPノックアウトマウスもWild typeマウスも8-ヒドロキシグアニン生成に差を認めなかった。同様にMMP-2,9,TlMP-2,IL-10,defensinの遺伝子発現もタバコ曝露したCCSPノックアウトマウスとWild typeマウスとの間で有意な差を認めなかった。以上より本実験において、CCSPが上記サイトカインおよび酸化的ストレスを介してタバコによる肺のリモデリングに関与しないことが示唆された。炎症関連の他のファクター(ケモカインなど)を含めた総合的な解析が必要であると考えられた。 また、クララ細胞除去マウスに関して、サイミジンカイネース過剰発現による方法とナフタリンを用いた方法があり、両方法でクララ細胞除去が確認されており、さらにナフタリン法においては、少なくとも、20日間のクララ細胞除去継続が確認された。よって、現在、このクララ細胞除去マウスにシリカの吸入曝露試験を行っており、また、タバコの吸入曝露については、考慮中である。
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