研究概要 |
(1)ラット骨格筋再生過程でのdysrophin, α-sarcoglyacan, α1-syntrophin, nNOSの発現の経時的検討: カルジオトキシンを用いた骨格筋壊死再生モデルにてdystrophin (DYS), αsarcoglycan (αSG), α1 syntrophin (α1S),神経型NOS (nNOS)の動態を検討した.免疫組織学的には再生筋形質膜において,DYS,αSGが3-5日後に発現し,α1Sが5日後,nNOSが10日後に発現した.Western blot法にて各蛋白を定量的に解析すると,αSG(25%再生日→50%再生日→90%再生日):3.5日→5.1日→6.5日.dys:4.2日→5.5日→7日.α1S:5.2日→6.5日→14日.nNOS:11.5日→16日→20日であった.再生過程ではαSG→dys→α1S→nNOSの順に出現・増加し,ジストロフィン及びその関連蛋白の再生開始・終了は筋鞘膜側から筋鞘膜内側へ進むことが示唆された.nNOSは再生筋線維のtype1, type2への分化に関連し発現することを示した. (2)ヒト骨格生検筋における壊死およびアポトーシス関連物質の局在: (1)多発筋炎ではアポトーシス関連物質の有意な染色性はみられなかった.しかし,細胞外マトリックス蛋白であるテネイシン染色にて,筋炎全般に壊死筋線維周囲に局所性に発現した.さらに,皮膚筋炎では多数の筋線維周囲にびまん性網状に特異的に染色され,炎症性変化に加え,虚血性変化が示唆された.(2)ミトコンドリア脳筋症のRagged-red fibers(RRF)ではBax, Apaf-1, caspase3,8,9は筋鞘膜直下および筋線維内に染色された.ミトコンドリア膜上のBaxが活性化され細胞質内で活性型Apaf-1が発現し活性型caspase9を誘導しcaspase3を活性化するミトコンドリアを介したアポトーシス伝達経路の関与を示唆する.また,RRFでFas, Fas-L, caspase3,8が発現しており,Fas/Fas-Lを介したcaspase8の活性化によるcaspase3を活性化する経路の存在も示唆された.
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