onion-bulbは軸索周囲に同心円状に並ぶSchwann細胞の細胞質であり、その形成は遺伝性脱髄性ニューロパチーの代表的疾患であるCharcot-Marie-Tooth病(I型、III型)や慢性脱髄性多発根神経炎、糖尿病性ニューロパチーの末梢神経病理を特徴付けるものであり、臨床的にも実験的にも慢性的な脱髄と髄鞘再生を繰り返す病態で見られることは知られていた。本研究で明らかになったことは、1)挫滅病変やVitamin B6欠乏下でのisoniazid中毒による軸索変性後の2次性脱髄過程において生じる変性ミエリンはある部分、macrophage scavenger receptor(MSR)を介する経路で貪食され、処理されると考えられるが、その処理機構が障害されると正常な髄鞘再生が妨げられ、onion-bulbを形成する。2)挫滅病変やVitamin B6欠乏下でのisoniazid中毒による軸索変性後の2次性脱髄過程において生じる変性ミエリンは酸化phoshatidylcholineを含んでいる。以上の2点はいままでに報告されたことはなく、本研究で初めて示された。phosphatidylcholineが酸化される機構や他のMSR(CD36、SRBIなど)が酸化phoshatidylcholineの処理に関与しているどうかは今後の検討課題である。
|