研究概要 |
本研究では特に「協和音」と「不協和音」の違いにより、和音刺激によるERPに何らかの違いが生じるかどうかに注目した。 「協和音」と「不協和和音」の純音による音刺激をコンピューターで作成し、正常成人10例(平均年齢34.5±7.5歳;25〜53歳;男性4人、女性6人)を対象に、聴覚性事象関連電位を検討した。 「協和音」・「不協和音」がRare stimuli(20%)とFrequent stimuli(80%)として、ランダムに呈示されるCDを使い、「ボタン押し課題」と「オミッション課題」を施行した。その結果、N200、P300振幅、潜時共に、Rare stimuli(20%)・Frequent stimuli(80%)間の有意差が「オミッション課題」において明確に認められた。このことからRare stimuliにおいてボタンを押さない「オミッション課題」が、Rare stimuliにおいてボタンを押す「ボタン押し課題」に比べ、より強い脳活動を誘発することが示された。 また電極間における差は潜時には認められなかったが、振幅についてはN100,N200,P300全てについて認められたことから、N100,N200は前頭部・頭頂部優位の、P300は頭頂部・後頭部優位の電極分布を示していると言える。 また「協和音」と「不協和音」を入れ替えた場合、潜時・振幅共にN200,P300にその影響が認められた。有意差が認められた。このことから、N200,P300が「協和音」と「不協和音」の認知に関連した複雑な情報処理に関係していると考えられた。「協和音」と「不協和音」の条件を変化させることにより潜時、振幅共に影響があったN200について、今後その「特異性」を検証したい。
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