研究概要 |
本研究では刺激間間隔(stimulus onset asynchrony, SOA)を一定にするC条件(constant条件)と、SOAを変動させるR条件(random条件)の2つで、視覚刺激を呈示し、「オド・ボール課題」下の事象関連電位(N200,P300)を測定した。また、一種類の図形だけをC条件・R条件で呈示し、それに対して単純にボタン押しを課す「単純反応課題」下の事象関連電位をも測定した。さらに「オド・ボール課題」による反応と「単純反応課題」による反応同士で引き算する方法で、視覚性注意関連反応(NA, N2)を測定した。これら、N200、P300、NA、N2、反応時間などからなる生理学的指標に対するSOAの影響(C条件とR条件を比較して解析)を検討、外的視覚刺激の呈示リズムが脳内情報処理プロセスにどのように作用するかを探索した。まず、健康成人におけるデータを得たところ、リズムによる影響は統計学的に有意な差をもって存在することが確認された。それをベースとして今後、小脳性運動失調症への臨床応用を試みたい。また、パーキンソン病では臨床的にリズムを外的に与えることによって、歩行や視覚始動性運動が改善する「キネジー・パラドキシカーレ」(Kinesie Paradoxicale)が知られており、これについても上記の研究方法を応用可能な見通しが立った。
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