研究概要 |
まず,基礎的検討として,正常者(n=10)におけるnovelty P3とP3aの異同につき課題関連性と新奇性の立場と心理学的な意味づけを,オドボール課題と4音弁別課題を用いて頭皮上電場解析を用い行った.標的刺激誘発P3についてはオドボール,4音弁別課題ともに,特性に変化は認められず,500Hzに対するP3も標的刺激誘発に近似していた.一方125Hz誘発のうち第1試行P3はCzに分布し,第2試行P3はPzの分布であった.500Hzに対するP3と125Hz誘発のうち第2試行P3は広義のP3aの特性に合致し,125Hz誘発第1試行P3は狭義のP3aあるいはnovelty P3の特性を示したものと考えられた(K Hirata,et al:A study of task irrevant and novelty for the P3acomponent.Electroencephalogr.Clin.Neurophysiol.49(Suppl.):154-9 1999). 次に特異な知的機能障害をもつパーキンソン病を検討する前に,一般的な痴呆の代表として血管性痴呆(VaD)患者(n=13)を対象として,情報処理速度と情報処理資源配分の障害を明らかにする目的で同様のERP測定課題を用いP3を測定した.この結果,VaD患者ではオドボール課題において潜時延長を認めたが,振幅の低下はなかったものの4音弁別課題では振幅低下も認めた.オドボール課題の結果からVaD患者では情報処理速度の低下が確認され,4音弁別課題から情報処理資源量の減少や配分障害の存在も示された(穂積昭則,平田幸一,他:4音弁別課題を用いた聴覚刺激事象関連電位による血管性痴呆の検討-血管性痴呆患者における処理資源の滅少-臨床神経生理学28:46-50,2000). 現在,パーキンソン病(PD)患者(n=15)において同様の課題を用いて検討中であり,学術論文として提出準備中である.
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